依頼者は旦那様を亡くされた女性の方です。
お子様は長女がひとりいます。
遺言のようなものが見つかったので、相談をしたいとのことでした。
依頼者宅にいくと、官製ハガキの裏面に「すべての財産は妻〇〇に相続させる」と手書きで書かれていました。全文手書き、日付、氏名、押印もされており、自筆証書遺言の様式は満たしていました。
ただ問題なのが、亡くなった旦那様は再婚で、先妻との間に2人の子供(長男、長女)がいました。
法的にはその2人も相続人なので連絡をする必要がありますが、依頼者(奥様)はその二人の連絡先も知らないし、面識もないとのことでした。
上記のケースにおいて、自筆証書遺言が残されていたため、それを生かす方法を選択しました。全財産を依頼者様が相続することについては、実の子(長女)は異論はないとのでした。問題は、所在も連絡先も知らない相続人2名です。
まず、当事務所で相続人調査を行い、この2人の生存の確認と所在地の特定をしました。
その後、お二人に宛てて、お父様の死亡と遺言書の件をお伝えしました。
お二人は共に50代で、遺言内容に問題はないとのことでご納得されました。
その後、自筆証書遺言を検認する申立(本人申立)を行いました。
手書きの遺言はそのままでは相続手続きに使えません。まず家裁に申し立てをして、指定日に相続人全員(原則)が集い、「本当に本人が書いたものかどうか」を確認する作業(検認)をする必要があります。
検認は必ずしも相続人全員が集まる必要はなく、来所した相続人たちだけでこの手続きがなされます。上記2人は遺言内容は納得済みでしたのでお見えにはなりませんでした。
無事「検認」が済み、その後小職が「遺言執行者」に選任されたため、遺言内容に基づき、相続手続きを完了させることができました。
相続人への連絡、調整にくわえ検認と遺言執行者の申立があったため、通常の相続手続きより時間がかかりましたが無事完了し、依頼者様には本当に喜んでいただけました。
【事務所から一言】
今回のように自筆遺言があった場合、さらに他に相続人がいるケースだと手続きが上記のように複雑になります。おひとりで悩まれることをされずに、是非お近くの相続の専門家に依頼されることをお勧めいたします。